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心エコー図法

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ECHOCARDIOGRAPHY

心エコー図法

徳島大学大学病院 循環器内科 講師
楠瀬 賢也Kenya KUSUNOSE
先進的な技術による新しい診断手法の
研究・開発、その実装に挑む
心エコー図検査は非侵襲で繰り返し行えるということから,循環器疾患の診断に最もよく使われる検査の一つである.近年は3次元画像による評価も加わり,循環器画像領域の技術として中心的役割を果たす.心音・心エコーグループとして1971年に大木崇先生が立ち上げられた伝統あるグループを引き継いでいる楠瀬賢也医師は,複雑な循環器疾患の確実な診断を実現するために,人工知能技術を含めた新たな挑戦に取り組んでいる.

被曝が無く患者負担の少ない心エコー図検査

 私は循環器専攻医時代にはカテーテル等の治療の手技も興味深く勉強させていただいていましたが,2011年の全米No1の循環器病センターであるクリーブランドクリニックの留学時に,世界中から集まった才能あふれる同僚や上司達と心エコー図検査に関する研究を共にすることで,世界レベルの研究を肌で感じることができました.そして,良質な研究室では研究・教育が多面的に行われることで,異なる分野との融合が進み,思いがけないブレイクスルーが起こることを体験しました.徳島大学でもこのようなハイレベルな体験ができるように,そしてその結果,世界に羽ばたいていける力を持てるような臨床・研究環境を整えていきたいです.

本研究グループでは心機能研究,疾患研究,新技術研究を軸として,新しい診断手法の研究・開発を継続し,その社会実装に挑んでいます.

心機能研究

左室拡張能に関する研究

心音・心エコーグループの黎明期より継続する領域で,左室駆出率が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction : HFpEF)の病態把握に重要です.近年は左房の関与があきらかとなっており,左房ストレインに注目した研究成果を発表しています.

右室機能に関する研究

従来はその重要性に注目されていなかった右室ですが,近年の画像診断技術の向上により,その役割や病態生理の解明が可能となってきました.弁膜症や心不全症例における右室機能の重要性についての研究成果を発表しています.

心血管連関に関する研究

HFpEFは全身病ともいわれ,病態に対する様々な修飾因子があります.我々は血管機能に注目し,新たな血管機能指標を用いることで心不全病態解明を試みています.

図1:拡張能評価指標

疾患研究

心房細動患者の心機能に関する研究

高齢者で高頻度に出現し,その後の予後と強く関連する不整脈である心房細動は,絶対性不整脈であり心機能評価が従来困難でした.我々は簡便で再現性の高い心機能指標を確立することで,心房細動の心機能評価をより正確に行える試みを実施しています.脳梗塞症例も多いため,脳神経科と連携しそれら症例の解析を進めています.

肺高血圧患者の心機能に関する研究

ここ10年で治療薬の進化が目覚ましい肺高血圧症を早期発見するための取り組みを実施しています.特に運動負荷心エコー図法については2010年頃より早期発見のために研究報告・臨床応用をしてきましたが,2022年の欧州のガイドラインにて我々が報告してきた新たな指標が,運動時肺高血圧症の診断項目として採用され,研究を臨床につなげられている領域です.

図2:運動負荷心エコー図による肺高血圧の検出

新技術研究

医療AI(人工知能)研究

2018年から医療AI(artificial intelligence,人工知能)に関する研究を開始しました.私が最も力を入れている領域の一つです.AIにより医療の質の向上を目指す取り組みとして,心エコー領域における自動計測・診断支援,胸部X線写真を用いた疾患検出技術の開発を行い,論文報告に加えて,これら疾患検出技術を社会に還元すべく共同研究を中心に進めております.

ストレインイメージング研究

心機能を評価する新たな新指標であるストレインイメージング法を用いることで,病態の早期発見・早期治療につなげる試みを実施しています.特に腫瘍循環器領域では乳がん治療薬を使った患者さんの心毒性の早期発見・早期治療にストレインイメージングが有用かどうかの国際的な共同研究(SUCCOUR trial)に参加し,プレゼンスを高めています.また,希少疾患の一つであるサルコイドーシスの早期発見に役立つことも報告しました.

心外膜周囲脂肪に関する研究

冠動脈は心臓を覆う脂肪組織である心外膜脂肪(epicardial adipose tissue: EAT)に取り囲まれており,EAT から様々な炎症性サイトカインが放出され,隣接した心筋や冠動脈に影響を及ぼすことが示唆されています.我々のグループでは心エコー図法を用いてEATを可視化することで研究・臨床に応用しています.

図3:AIプログラムの実行

MESSAGE

若手へのメッセージ

1971年より続く伝統ある心音・心エコーグループですが,多くの諸先輩方の力により日本を代表する超音波検査・循環器画像研究のラボとなれるようなチャレンジを継続しています.
特に心音・心エコー領域は今後の地域医療を支える上でも,大型の機器を必要としない診断ツールとして重要性が増していく分野です.多くの若手も育ってきてくれていますので,この流れについてきてくれる若き研究者の皆さん,ぜひ一緒にこの分野の未来を創っていきましょう.

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